韓国・台湾視察レポート|GNIデータが示す日本の現在地と地域ビジネスで追い求めること【くりえいと代表コラム】

2026.06.05
韓国・台湾視察レポート|GNIデータが示す日本の現在地と地域ビジネスで追い求めること【くりえいと代表コラム】

2026年5月、韓国金海市と台湾(台北・台南)を訪問しました。体調を崩しながらの旅でしたが、コンテンツ大国の土台、台湾の秩序ある街並み、そしてGNIデータが示す日本の経済的立ち位置について、多くの気づきを得ることができました。地域ビジネスにおける「ギリギリの線」の追求について、代表・宮崎が綴ります。

日本はもう「豊かな国」ではないかもしれない――韓国・台湾を訪ねて思ったこと

5月の前半、韓国の金海市と台湾の台北・台南を訪問した。

とにかく体調をどんどん崩していく旅になった。5月1日には宗像市の副市長や市議会議長との会食も予定されていたが、それすら体調不良で参加できなかった。その日の夜は、洗濯機を回しながら、ホテルの部屋でひとりハンバーガーを食べて過ごした。(もうコテコテしたものは食べたくなくて周りを探してみたが、一番コテコテしてなかったのがハンバーガーだった(笑))

体調不良で寝込む様子のイメージ画像|海外出張中の体調管理の難しさを表現
体調を崩しながらも考え続けた5月の旅(AIのイメージ画像です)

そんな旅でも、得たものはあった。


韓国・金海で見た「コンテンツ大国の土台」

金海市では、市近郊のメディア大学に案内していただいた。

映画やアニメーション、デジタルコンテンツを制作するための最先端の設備が、驚くほど充実していた。韓国の映像メディアが国際的に高い評価を受けていることの、その土台たるものを目にした気がした。

韓国金海市と福岡県宗像市の交流イメージ画像|姉妹都市間の国際交流を象徴
金海市訪問で見たコンテンツ大国の土台(AIのイメージ画像です)

私と同行者は、その大学の学生たちの課題の「素材」にされた(たぶん)。世界遺産を見て回る私たちを、カメラを持った15人ほどの学生が前から、横から、後ろから、接写まで(笑)。いつかお声がかかったら大河ドラマで歴史上の革命家を嬉々として演じてみたいと考えていたが、いやいや、カメラの圧力というのは想像以上だった。


台湾で感じた「秩序」と「言葉の力」

台湾は、整然としている。あの灼熱のなかの秩序を信じるのは難しい。私が訪ねたことのある南方の国というのは、どこも少しルールがおおらかなものだが、台湾の人は共同体の約束に厳格だ。

台湾台南の街並みイメージ画像|整然とした秩序ある南方都市の風景
灼熱のなかでも秩序を保つ台湾の街(AIのイメージ画像です)

私が台湾に行き、駅で電車に乗るたびに幸せな気分になる。それは「月台」という言葉のせいだ。中国語でプラットフォーム(駅の乗り場)を指す言葉なのだが、その月台という言葉が語りだす銀河鉄道的な移動のイメージが、私を夢心地にしてくれる。

銀河鉄道のような幻想的な列車のイメージ画像|台湾の駅で感じた月台という言葉の詩情
「月台」という言葉が語りだす移動のイメージ(AIのイメージ画像です)

同じ場所のことを、日本人はおそらく最初から「乗り場」と言ってきた。これを「月台」としていたら、どんな変化があっただろう——と考えずにいられない。言葉の選択が、人の感覚や文化をつくっていく。そういうことを、電車に乗るたびに考えていた。


数字が語る、日本の「現在地」

旅をしながら改めて感じたのは、海外の物価の上昇だ。円の購買力が弱くなっている、ということだ。実際にGNI(国民総所得)を確認してみると(単位:千ドル)、台湾39・韓国36・日本35の並びになっている。

日本人は近隣国に比べて、自分たちがまだ経済的に優位に立っているという誤解をしている。そのことに早く気づくべきだ——というのは批判ではなく、私自身への戒めでもある。地域でビジネスをする私たちにとって、この「現在地」の正確な把握が、すべての出発点だと思っている。


「ギリギリの線」を追求したい

台湾で久しぶりに訪れた誠品書店は、かつて私が憧れたお店ではなくなっていた。ビジネスとしては成功しているようだけれども。

そのことが頭に残った。

私はくりえいとに、「ギリギリの線」を追求したいと思っている。パブリックな公共性とビジネスとしての持続可能性、その境界線をまたぎながら、会社と地域の幸福を最大化していくこと。きれいごとのようだが、そこをギリギリまで追いかけることをやめたとき、会社はただの会社になる。そうなりたくない、というだけの話だ。

体調を崩しながらも、そういうことをぼんやりと考え続けた5月だった。

株式会社くりえいと 代表取締役 宮崎克史

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